おにぎり握るように愛してくれない?

キラキラした男の子達のこと

滝沢歌舞伎10th Anniversary 備忘録

【メモ】

①4/17(金)13:00(二階上手)【絆】※横、宮、ニ、千観劇

②4/18(土)18:00(三階正面)【誠】※五関様観劇

③4/19(日)13:00(一階14列上手)【舞】※京様観劇

【一幕】

<春>

1.TAKIZAWA KABUKI OVERTURE

英語のナレーション。妖精に扮したバトンの本庄さんの演技。大きな本の中に吸い込まれる妖精、という演出。夢があふれる感じでとても素敵。白い幕の隙間から滝様。桜をバックに北山くん、薮くんも登場。上に吊り上げられる。「春の踊りは」「よぉいやさぁ」の掛け声とともに、上から「滝沢歌舞伎」の文字が一文字ずつ落ちてくる。帝劇だったらきっとウォータースクリーンだろうな、と思いつつ(笑)会場全体に設置してある提灯がチカチカと点滅して、気持ちがどんどん高まる。最後の幕がドン、と開いて、櫓と共にJr.たちが登場。

2.オープニング「春の踊り」「いにしえ」

3.口上

「ひろく光を与えて欲しいという意味で宏光。皆様にも光を与えていきたいと思います。北山宏光!」低めの体に響く声。「あたえて」がとくに低くて響く。全体的にすごくドヤってる(かわいい)個人的には岩本くんの口上が大好きです。台詞というよりも、やっぱりいい声!

4.「Feelin'Good」

紫のお着物がよく似合う。薮くんと隣同士のとき、他のお衣裳のときにくらべるとぐっと小さく見える。たすきがけのせいで肩がはって見えないからかな?最初は基本的にあまりニコニコしないで、おすまし顔で歌ってる感じ。後ろのすのちゃんたちが爆発的に楽しそうに踊ってるのでとても対照的だった。下手に移動してすのちゃんたちと絡むところではやっとにこっと笑ったり、滝様と背中合わせになるところで唇を突き出してみたりして表情が出てくる。ばちタッチでおふざけするのは深澤くんと阿部くん。そのあと真ん中のほうに行って、薮くんとあっちむいてホイする。勝ち負けつかない日もあった気がするのでガチでやってるんだなと思った。タタン・タン、タタン・タンのリズムで後ろ向いたまま首だけ振り返るフリが超絶キュートだった。袴がぷりって揺れて、ちょっとおすまし顔で振り向くところが!!

5.疾風!鼠小僧

先生は金のお着物。私が見たときはもう黒染めが落ちかかっていたので、衣装と髪の色が似ていてあんまり威厳がない気がした(笑)声はとてもすごみがあってよかったのだけど。先生の台詞すごく声色変えてて好きだと思ったのに忘れてしまった。お手紙のくだりのあと、後ろを向いて赤い子たちにあっちだ、って指をさすところがとってもドヤっていて好き。最初に左手で左をさして、そのあとに右手で右をさすんだけど、その動作をわざとゆっくりやっててあざとくて好き!と思った。「先生がいません!」のくだりは「いっそのことひと思いにチビって言って!!」っていう言葉のチョイスが好き(笑)あと渡辺くんが手でメガネを作ってずーっと深澤くんを見てた日があって、すごくかわいかった。あと岩本くんと北山くんのサイズ感に毎回驚かされた。岩本くんおっきい。

<夏>

6.お化け~安珍清姫

これが唯一シンガポールで理解されるか不安になった演目かも。お化けっていう概念がそもそも共通ではない気がするし、あとの鶴よりも話全体がわかりにくい気がする。まあきっと文字での説明書きなんかも用意されるのだろうけど。安珍がもっとぱっくり食べられててもいいのでは…演出上難しいのかしら…。

7.MASK~変面 「MASK映像」「MASK DANCE」「変面」

シンガポールでの「MASK映像」がとても楽しみ!滝様の英語での演技になるんだろうけど声色をかえてふたり二役、かつ英語っていうところをどうこなすのか期待してます。「MASK DANCE」は最初ゾンビ!?って思ってしまうんだけどはたしてそれは滝様の狙い通りなのか気になる。マスカレード風のMASKで、なかなかどれが誰かわからないんだけど、MASKをしても舘様は舘様(笑)あと身長差である程度はわかるけど、佐久間くんはやっぱり佐久間くんってすぐわかるし、すごいなあと。階段の上の王子様衣装の林くん(たぶん)と江田くん(たぶん)がめちゃくちゃかっこいい。階段から降りながらのフリ好きだった。「変面」は北山くんや薮くんも滝様と一緒に変面していく。赤い衣装。裾絞りの黒いズボン、黒いマント。赤い上の衣装のせいですごく寸胴に見えて幼児みたいだった。超レベルの高いお遊戯会(失礼)左右に小刻みに揺れるフリがあったけど、薮くんはカチカチ左右で止めて揺れてるの対して、北山くんはわりと流してた気がする。三人が縦一列に並んで手のフリをするところは、北山くんらしいな、っていうアクセントのつけ方をしてた。18日は、最後のマスクをとって決めるところで、なかなかマスクが外れなくてそのまま暗転してて、ああそういうミスもするのね!?って思った。ドヤポイントがひとつなくなって残念だった(笑)

8.太鼓 「太鼓導入」「太鼓」

結局北山くんしか見てない。逆さづりの滝様を一度も見てない。ごめんなさい。滝様に向かって立って、うぉーっと雄叫びを上げるところ、声を出すときに首の筋がきっと盛り上がるのがたまらなかった。つるんとしたシルエットが綺麗。男らしいけど美しかった!最初立って太鼓をたたくところ。上手に座ってたときはほんと真正面から見ることができて最高だった。口を一文字にしてぐっと力を入れて、きっと眉間にしわを寄せて叩く。目線は基本的にぶれずに、たまに鼓面を見てたかな。北山くんのたたき方を見てるとたぶんばちをぎゅーっと握ってて、振り下ろすときはもちろんだけど上にあげるときもがっちり力が入ってるんだろうなと思った。腹筋太鼓。手をクロスしてから横に伸ばす動作が一番好き。一番苦しそう。太鼓をたたいてるとき、後ろの深澤くんは天を仰いでるけど(ていうかずーっと顔が同じ角度。ふっ角度おもしろすぎる)、北山くんは太鼓を睨み付けててもうほんとに痺れた。終始太鼓と戦ってる感じ。時々目を閉じてホントに苦しそうな表情するのがリアルだった。腹筋に関しては外腹斜筋につきる。そこだけ異様にばっきばき。胸板があつくておっぱいは私が見たころにはもう揺れてなかったと思う。だけど全体的に筋肉質でかっちかち、というよりはお肌に弾力があるように見えた。もち肌。

9.DANCE 「いつか OVERTURE」「いつか」

佐久間くんが一番前で、スポットライトが一番最初にあたって、そこからライトがぐるっと他の演者を照らしていくところが最高に美しかった。桜のまき散らし方も完璧、自分のライトの当たり方も完璧。あと阿部くんの女性ダンサーとの絡みも、私の予想に反して堂々としていて、(なんなら余裕があって)ちょっと肩すかしを食らった気分だった。

<秋>

10.滝沢一座 「楽屋」「舞台化粧」

北山くんが唇を真っ白にするところ(口をちょっと開ける)と、唇に茶色の口紅(?)を塗るところが好きだった。あとマイクに近付くけど何も言わないときに「ああ空気読んでる!かわいい!」ってなった。左目のアイラインをひくときに、筆を寝かせて筆の形を押し付けるみたいにして引いてたんだけど、その時のお顔の角度とか表情とかがとてもぐっときた。同様に眉を引く角度も。あと阿部くんのお化粧はただの女子だった。手鏡を近づけすぎ!かわいい!

11、滝沢歌舞伎 「口上」「秋の舞」「滝沢五右衛門」

 今村くんと村治くんの声がとっても良い。義経のナレーションのときも思ったけど。「秋の舞」は、とってもよかった!なにより佐久間くんが女形似合う似合う!佐久間くんは元の決め顔で口角があがっている子なので、柔らかい踊りにあの口角があがったにこやかな表情がばっちりだった。「五右衛門」はなんといってもはしごの北山くんのぷりぷりお尻につきる。でもあの体勢のまま梯子を支えてもらって、くるっと上体を起こすのすごいなあ、と思う。ぎこちなさもなくて、なんでもこなせてしまう人なんだなあと改めて感じた。

<冬>

「お七」「鶴の舞」

滝様のお七はホントに美しいなあと息を飲んでしまった。「命に代えても」という台詞の言い回しがホントに素晴らしいと思う。ぐっと心を掴まれる声色としゃくり方というか。個人的にはオレンジの布をぱたぱたしてる石垣くんを結構見てた。

「鶴の舞」今回の演目で一番好きかもしれない。(腹筋太鼓とか書道とか、滝北曲抜きの純粋な歌舞伎・歴史ものの演目のなかでの話)ストーリーが単純明快かつ、とにかく美しい。鶴の衣装もまあお遊戯会感はぬぐえないんだけど、でもそれを抜きにしても美しくて好き。全体の水色と白を基調としたところに、赤い血しぶきがドンと振ってくるところが本当にきれいだった。「怒り」の感情が頭に直接伝わってくるような気迫と演出が素晴らしくて、これはシンガポールでも絶対うけるだろうなあとお前誰だよ視点で考えていた。言葉がなくても表情や動作、ダンスでこれだけ伝わってくるお芝居素晴らしいなあ、と。鶴みつに関しては、いつもの北山くんはなりを潜めて、きちんとお芝居をしている感じがしてとても良かった。姫をみつめる儚げな表情や鶴王にお仕えしてます、お守りします、という忠誠を誓い覚悟を決めた表情とか、きちんとお芝居してる!!!と感動した。どこかの公演で、かつらのくるくるの毛がくるんと左右対称に両眉に繋がっているように張り付いててめちゃくちゃかわいかった。

【二幕】

1.書道 「OVERTURE」「Passion」

これを見て北山くんに惹かれない人がいるのか私は問いたい。黒の袖なしの上に黒い袴。衣装のセンス最高。たすき掛けではなく、袖がない、という点に賞賛の拍手を送りたい。大きな紙を前に真剣な表情で立ちつくす北山くん。ぐるりとゆっくり紙の上を歩くその表情はとにかく「漢」で、まるで紙に勝負を挑んでいるようで。きっとそういう表情を無意識のうちに作っているのだろうな、と思った。計算ではやってないんだと思う。大きな筆を迷うことなく進めていくさまは見ていて圧巻だった。小さいからだで、大きな筆を巧みに操り、あの真っ白な紙にバランス良く文字を書ける北山くんほんとすごい。書道家なれるでしょ。書展開けるでしょ。本当になんでもできるんだなあと思った。もちろん二の腕の筋肉も素晴らしかった。歯を食いしばってぐりぐりと筆を押し付けるときの表情もたまらなかった。個人的には墨が掠れてきて、ぐりぐりと押し付けながら、後ろに下がっていくときの腰の動きがよかった(細かい)

2.忠臣蔵

これもまた衣装がいい。片肌脱ぎで鎖帷子(みたいなやつ)っていうのが個人的にはとてもエロスを感じた。あとローラーを履いたときの全体のバランスもなかなかよくてかっこよかった。時代劇にライトセーバー!?という衝撃もなんのその、北山くんが滝様の刀を奪って二刀流になるところは本当にかっこいい。義経で本格的な殺陣は見れるので、ここではローラー×ライトセーバーくらいのお遊びがあっていいのかなと思った。

3.薮曲 「IZANAMI」

薮くんの指と、裏声に変わるときのなめらかさに尽きる。あと紫のお衣裳がほんっとーに素敵!なによりすっとした薮くんに似合うし、左肩だけひらっとなってる(デザインの名前がわからない)のがすごくきれいだった。全編通して一番好きな衣装かも。

4.滝北曲 「Believe yourself」

 北山くんが氷上を意識しているようななめらかな動きで滑っていて、この人なんでもできるんだなと思った。(3回目)普段の北山くんからは想像できないしっとりとしたダンス。ああこういうふうにも踊れるんだ…ってすごく感動した。とくにターンとか。しなやかさはちょっと欠けるけど、とっても柔らかくてきれいだった。白いシャツがひらひら揺れて美しかったなあ。全編英語詞で、北山くんのあまい声が堪能できる良曲。最初の北山くんソロパートのところで、頭を抱えるようなフリがあるけど、すっごく悩ましげでちょっと影がある感じがしてかっこよかった。

5.滝沢組曲 「舞星 Mai-Star」「IKUSA」「Light of Hope」「心」

滝・薮・北 VS Jr.という群舞。Jr.を掻き分けるようにして進む北山くんの手のフリがかっこよかった。「Light of Hope」では、私的一番のエロポイントと言ってもいい影絵が。滝様のうさぎを下から撫でるときの指がとてつもなくエロい。影を見てても感じたし、実際の指を見るといてもたってもいられなくなるほどだった。なめらかに動く指のスピードと無骨な男っぽい指の感じがたまらなかった。あと北山くんのうさぎはぶっさいく。08の藤ヶ谷くんのほうがちゃんとうさぎだった。おててがまんまるだから仕方ないのかな。何気に指を噛まれて痛い痛い、って手を振るところも好きだったな。あと横を向いて、うんうんって頷くところとか。北山くんのちったいお鼻って影絵でみると数億倍キュート。手フェチの私としては素晴らしい演目でした。

6.スペシャルメドレー 「WANNA BEEEE!!!」「SUPER DELICATE」「愛想曲(セレナーデ)」「卒業」

後ろのまどめいどガキヒロちゃんもみたかったのに、前のわちゃわちゃがおもしろすぎてあまり見れなかったのが心残り。北山くんと深澤くんの小競り合いのくだりからの「わなびーふりー」っていう曲振りがいっつもひらがなでちょっと呆れた感じでいうのがカワイイ。あと佐久間くんのよちよちローラーはあざとすぎる。かわいいけど!スパデリの変顔とか、ソロパートとかは、普段のちょっとめんどくさいやりすぎちゃう北山くんだった。うざかわいい。(結局)にしても深澤くんがばっちりオチを決めてて株があがった。おもしろかった。前に滑ってきて、舞台のへりに座るところ、阿部くんの体操座りが死ぬほどかわいい。阿部くんはあざとくても全然いらっとこない。チュー顔の北山くんがすのちゃんたちに引き離されてそのまま舞台袖に捌けていくとき、19日の公演でスキーのスティックを持ってるような素振りで袖に消えていったのが無邪気なひとだなあとほっこりした。「セレナーデ」は、北山くんのステッキ使いがうまいのかへたなのかよくわからないけどエロいのはわかった。登場のとき、ステッキを舐めるように、といったら語弊があるかもしれないけど、ねっとりと下におろす仕草がセクシー。あと「紅のメロディー」の「ディー」のところがホントにザ・北山宏光みたいな声と目線の使い方だった。あそこだけ何度もリピートしたい。すのちゃんの登場のとき、滝様からステッキが飛ばされるんだけど、日によって受け取るひとが違って、みんな臨機応変に対応してて(自分のを先に踊り始めるひとに渡したりしてて)すごーい!プロだわ!って感動したりもしました。「卒業」薮くんと北山くんの歌声って本当に似てるんだなあ、と改めて。本当に溶けるようなハーモニーで、うっとりした。藤ヶ谷くんとのハモももちろん好きなんだけど、北山くんが藤ヶ谷くんに寄せてるんだなあ、って今回薮くんとのハモを聴いて思った。薮くんとのハモはまっすぐというか、余計なこと気にせずとも声質があまりに似てるせいで溶けあっちゃう感じ。美しかったなあ。

7.Shadow Dance

本当に!心ふるえる演目!素晴らしかった!映像とダンスのコラボ、白と黒の使い方が本当に素晴らしくて感動したんだけど、なによりも6人のダンスのクオリティが圧巻だった。映像と、自分自身の影をしっかりと合わせてきてて、ああきっとすごい練習を繰り返したんだろうな、って後になって思うんだけど、実際に見てる時はそんな余計なこと一切考えさせてくれないような、息を呑む怒涛のダンス。本当にかっこよかった。しかもこれが、すの3人、ぜい3人っていうところが粋だな、と思う。あとの演目上仕方なしに、っていうメンツなのかもしれないけど、これを挟んだ滝様本当にすごい。 白いすの、黒いぜい。最高のコントラストでした!何度もみたい演目!

8.義経(殺陣)

余計なもの(という言い方は絶対正しくないけど)を取っ払って殺陣だけに特化した義経。物足りなさはあるけど、その分岩本弁慶の「義経様」の悲痛な叫びが際立ってよかった。この岩本弁慶と対峙する北山景時のなにがすごいって、その身長差や体格の差がまったく気にならなかったところ。ぎりぎりと睨み付けながら弁慶に迫る景時のオーラたるやすさまじく、本当に息を呑んだ。冷酷な流し目ももちろんかっこよかったんだけど、一番はやはりここの弁慶をぎりぎりと追いつめるシーン。本当にちょっとかっこよすぎて震えた。そのあと、義経の圧巻の殺陣。なべしょは斬られ上手!というよりアピール上手なのか。あ、今斬られたのなべしょだってすぐわかる(笑)あとすごーく目で追ってしまったのは、江田くん。たぶんすごく表情が良かった。めちゃくちお芝居できるひとなんだろうなあと思った。どことなく景時を思わせるような冷酷さがあった。最後、義経VS景時。これを見るために私ははるばる福岡から来たんだ!ってまばたきもしないで見てた。08の時より、明らかに凄みを増した景時とそれを受けて立つ義経の間に流れるピリピリした空気が本当に素晴らしかった。地声の「よしつねぇぇぇ!」に打ち震え、斬られてもなお義経に食って掛かろうとする景時の勇ましい死に顔が圧巻。 1分にもみたないシーンなのに、全部を見終わったときに脳に残ってる尺としてはかなり長くて、ああ本当にいいものを見させてもらいました!と感謝したくなるようなふたりの一騎打ちだった。ごちそうさまでした!

9.WITH LOVE

うしろのスクリーンで舞台稽古の映像。出演者が登場するのに合わせて超絶キュートの桜バックのソロショットが流れてくる。その前で歌うみんな。冷静にどこを見たらいいの問題に頭を抱えた。私は三公演入れた+席の問題で(三階席は後ろのスクリーンが見切れる)ひとつずつ見たんだけど、一回しか入らないひとにはあまりにも不親切な設計だった(笑)最後の「うぃずら~ぶ」で北山くんの左手のてのひらをなぞるときにそこを見てる視線が儚いのにセクシーでどんだけだよと頭を打ち付けたくなった。

 

 

以上7000文字オーバーの備忘録でした。間違っているところも多々あるでしょうがご愛嬌で!

 

クリエという布石から考える萩谷と安井

シアタークリエというキャパシティ700程度の小さな劇場で、4月~5月にかけて、人気ジャニーズJr.たちによるセルフプロデュースの公演が行われます。A~Jに振り分けられたジュニアの組み合わせは、色々と邪推するには持って来いの好材料です。

 公演の順番=アルファベット順ではない点が、個人的にはとても引っかかります。邪推にもほどがありますが、これがいわゆる事務所が推している順番なのではないか、と感じてしまうのです。SexyBoyzというくくりすらなくなって、デビュー組のマリウスを差し置いて「A」を任されるJr.の存在が、あまりにも大きい。なにより「A」で始まり「A」で終わるこのジャニーズのお祭り。なにもないはずがないじゃん!?と思ってしまうのがオタクの性ではないでしょうか。というかもう「B」の名前順ですら気になってしまう。なんでマリウスよりジェシーが前?トラジャがトラジャとして公演を行わないこともとても気になる。兄組はMAD、MADEとの合同で、弟組のみ単独で公演を打つのはどうしてだろう、トラジャという名前を使いたくないのか…?空中分解させる気か…?などなど。たくさんの邪推ポイントがあります。いくら考えたって正解はないし、答えも結局わからずじまいなのはわかっているのに、考えずにはいられません。しかしこの際「A」のことは置いておきたいのです。テレビ誌の表紙も飾ることだし、もう大人の中でなにかしらは決まっているのでしょう。私が気になるのは「H」のことです。

 無所、と呼ばれるJr.たちの行く末を、私は案じずにはいられません。この前までシンメだったあの子とあの子が、あれれ、バラバラに?なんてことはよくある話です。シンメだと思っていた片方が突如としてユニットに組み込まれ、取り残された片方は、無所となる。萩谷くんと安井くんも「バカレア組」にシンメだと思っていた片割れを取られた無所Jr.である、と私は感じています。

 『私立バカレア高校』が放送されたのは2012年4月。出演するJr.が「バカレア組」と呼ばれ始め、少クラでもそのくくりで歌を披露するようになり、アイドル誌上でもこのメンツでの企画が増えていきました。それは2015年のいまでも変わりません。アイドル誌上で「バカレア組」というワードは使われなくなったものの、この組み合わせでの企画ページはまだまだ継続しており、2015年カレンダーにおいてもいわゆる「A」の次に取り上げられていたように感じます。少クラでも、もはや年季の入った息の合ったパフォーマンスを繰り広げていて、「バカレア組」の完成度の高さがうかがい知れます。そしてこのクリエでもバカレア組は「C」に位置しています。

 それまで、安井くんのシンメは京本くんであり、萩谷くんのシンメは樹くんでした。京本くんも樹くんも、バカレアに出演し「バカレア組」で活動することが増えました。Jr.内のシンメの組み合わせなんて、その時々で違うことは多々あるのは知っています。しかし、さまざまな組み合わせでステージに立つなかで、見ている側も、たぶんやっているJr.たちも、手ごたえを感じる組み合わせがあって、おそらくそれがシンメというものなのだと思います。お互いのシンメを「バカレア組」に取られた萩谷くんと安井くんは2012年ごろから急速にシンメとして同じステージに立つことが増えていきました。これが偶然なのか、誰かが意図してのことなのか、私にはわかりません。同じ傷を持つ者同士、というのはあまりにもきれいごとかもしれませんが、”あまりもの”だったふたりがシンメになった、というのはとても美しい話だなあと思います。ふたりのシンメのかたちが、その他のシンメと違うように感じるのも、このせいではないかと思います。ダンスの立ち位置的にたまたまシンメになった、とか、デビューするためにシンメでいる、という利害関係ではなく、せっかくふたりでいられるんだからふたりでいよう、みたいな寄り添う感じのシンメに思えるのです。

 安井くんは2007年夏ごろ、萩谷くんは2007年12月にそれぞれ入所しています。入所して5年ほどが経ち、それぞれJr.として成長期に差し掛かった時に、シンメを取られてしまったふたりで組んだシンメ。尊いなあと思うわけです。2013年のキスマイのドーム公演のバックではばっちりシンメ位置でステージに立ち、2014年春には「SHARK 2nd Season」にふたりそろって同じバンドのメンバー役で出演します。そんなふたりのシンメを確定的なものにしたのは、2014年の舞台「オーシャンズ11」ではないでしょうか。外部舞台で兄弟役を演じたふたりは、きっとお互いに自分たちがふたりでいる意味を考えざるを得なかったはずです。

 安井くんに関しては、2014年に始まったガムシャラでのMC的立ち位置がすっかり板についてきて、学業優先なのかなかなか表に出てこない萩谷くんを差し置いて雑誌でも地上波でもバンバン露出するようになりました。もちろん萩谷くんがいないとき、違う誰かが安井くんの隣に立ちます。それでもふたりのなかに、確実にゆるぎない「シンメ」という共通概念が存在していて、だからこそ2015年2月のガムシャラJ's Partyでは、ふたりきりのキスウマイを披露してくれたんじゃないかと思います。

 こんなに尊いシンメだけれど、彼らにはユニット名はありません。所詮、無所Jr.で、いつまたバラバラになってしまうかわかりません。急激にMC力をつける安井くんには、CDデビューじゃない、他の道が待っているかもしれません。一方の萩谷くんはまだ大学一年生で、これから先もジャニーズという道を歩み続ける保障はないわけです。それでも、私は、このふたりに離れて欲しくないと思うのです。だってふたりがふたりでいたいって思ってるのがなんか伝わってくるから!安井くんはなんでもできるJr.のスーパースターだから、萩谷くんはなにがなんでもその手を離すんじゃないぞ、と思っています。でもなんとなく、安井くんもきっとはぎちゃんが最後のシンメだって思ってるんじゃないか、とも感じるわけで。まあ私の都合のいい解釈というか妄想にすぎないかもしれないんですが。

 ジャニーズにおけるCDデビューは、大きな意味を持ちます。大きな経済効果を伴う事象であり、第三者的視点から見ても大きな芸能トピックです。今年は四年に一度のワールドカップバレー開催の年であり、例年の慣習であれば、なにかしらの新しいグループがCDデビューを果たす年です。いまそこに一番近いのはもちろん「A」の子たちでしょう。もしかすると、クリエのアルファベット順は、そこへの並び順なのかもしれません。名前のない「H」の子たちは、そう考えると8番目です。

 来年もジャニ―ズ銀座があるとして、はたして萩谷くんと安井くんは同じステージに立っているのか、どこにも確証がないことが切なくなるくらい、私は萩安というシンメが好きです。どうかいつまでもふたりでいてほしい。いなくならないでほしい。もしデビューの順番がやってきたとき、どうか隣同士でいてほしい。そればっかりを願ってます。

 

銀テープを掴む日まで

去る2月21日、六本木EXシアターにて行われた「ガムシャラ J's Party!! Vol.8」

トリプルアンコのあと、目に見えない銀テープが降ってきました。あの日、あの場所にいた観客全員がいろんな思いを抱きながらあの銀テープを見ていたと思います。Jr.ちゃんたちが、きゃっきゃとはしゃぎながら、自分たちで効果音をつけながら、飛ばした目に見えない銀テープ。手を伸ばしても取れないそれの儚さったらない。しんみりする私をよそに、安井くんは「いつか銀テ降らせるから!」と高らかに、そして極めて明るい声色で宣言して舞台袖に捌けていきました。

「デビューは就職だ」と重岡くんは言いました。Jr.ちゃん達は未来が約束されていない状態で必死に、それこそがむしゃらに自分をアピールします。俺を好きになれ!と言わんばかりにパフォーマンスを見せつけます。その暑苦しい熱量は、ステージ上で昇華され、キラキラまぶしい何かに代わり、オタクの目に、ハートに、ぐさぐさ刺さります。あの日の六本木もまさしくそんな現場だったように思います。

うちわ禁止という前代未聞の措置が取られた最終日の2公演。真相は闇の中ですが「しょげてるかと思った」と話したみゅーとに思わず鼻で笑ってしまうくらいには、オタクたちは元気でした。吹っ切れた、という言葉が合うかもしれません。公演前に影マイクで「うちわを使わないでね」と呼びかけた安井くんが「嫌われちゃうんじゃないかと思った」と心配したのも無意味なくらいに、オタクたちはその状況を受け入れ、楽しみました。うちわというジャニーズ独特のコミュニケーションツールを無くしたおかげで、オタクたちのファンサ欲求が必然的にフラットになり、余計なことを考えずに目の前のアイドルたちを楽しめたこと、そしてJr.ちゃんたちも、普段はうちわに向けて行えばよかったパフォーマンスをここにいる全員に対して届けなければ!と、必死さに拍車がかかり、相乗効果で会場のボルテージがぐんぐん上昇していきました。バンド形態のコンサートであったことも、あそこまで熱狂的な空間を作り出したひとつの要因であると思います。とにかく、あの場にいる全員が「楽しい!なにこれ!?」と感じたのではないでしょうか。「よくわかんないけどちょー楽しい!!」という一種のトランス状態にあの空間全体が陥っていたのだと思います。

 そんな状態の会場が、通常アンコで収まるわけもなく。あれよあれよと再びステージに戻ってきたJr.ちゃんたちは、どこにそんな力が有り余っていたの?というくらいに全力でキラキラと輝きを増したパフォーマンスを繰り広げ、私たちもただただそのキラキラを享受しながら、彼らの熱量に応えるように、うちわではなく、京本くん(またの名をロック先生)が提唱したロックポーズを突き上げました。夜公演でトリプルアンコのBAD BOYSをやりきったあと、ドラムセットから立ち上がって、ふらふらと階段を下りて、がくっと膝から崩れ落ちた萩谷くん。それを支えるように萩谷くんの小脇を抱えた後藤くん。ようやく全員が横一列に並んで、口々に「楽しかった、みんなすごかったよ!ねえ!」と無邪気に今の気持ちを呟いていました。そこで「あれ、やりたくない?」と安井くんが呟きます。アレ、とはコンサートの最後、「俺たちは~?」の掛け声のあとに会場全体でユニット名をつづける、アレ。昼公演では「俺らってなんなの?」と至極当然の疑問があがり、でもすぐさま「ジャニーズJr.だろ!」と答えが返ってきました。彼らにはユニット名なんてありません。このメンツでこの演目を再びやることも、(おそらく)二度とありません。彼らはただ、ジャニーズJr.として確実性のないゴールを目指すという共通項しか持ち合わせていません。それでも、それを超越した達成感や団結感、満足感が彼らのなかに存在していたのだと思います。もちろん会場にいたオタクたちの心にも、存在していたはずです。よし、と手をつないだ彼ら。

「俺たちは~?」\ジャニーズじゅにあ~!!/

この儚さと尊さだけは一生覚えていなければならない!と胸が締め付けられる思いでした。そして、冒頭に戻ります。見えない銀テープを、彼らは飛ばしたのです。今思い出してもぎゅっと胸を締め付けられる光景ですが、記憶のなかの彼らは無邪気でひたすらに楽しそうで、ただただ笑顔でした。夜公演でこのくだりをやったあと「ジャニーズJr.でよかった!」と心からの笑顔で話す彼らに、デビューの約束のない未来への憂いなんて1ミリもありませんでした。感じさせないように明るくふるまったのかもしれませんが、どちらにせよ泣けました。

「銀テープを降らせる」具体的なようで実は曖昧な表現であると冷静になってみて思います。デビューをせずともソロコンを行い、銀テープを降らせたグループはこれまでにもいたからです。でも安井くんが言った銀テープには、デビューという言葉がにじんでいた、と私は信じたいです。23歳、大学進学という選択肢を捨ててジャニーズの道を全うする安井くんが幸せになれない世の中なんて間違ってると割と本気で思う。いつか、安井くんが降らせる銀テープを掴むその日まで、この日のことを忘れないために、記しておきました。安井くんをはじめとする、ジャニーズJr.戦国時代を生き抜く彼らの銀テープを掴む日まで、オタクはやめられません。