アイドルになってくれてありがとう
5月3日に発売されたこのアルバムの中に「優しい雨」という北山くんのソロ曲が入っている。この曲を聴いて、改めて北山くんがアイドルであることに感謝したくなった。「優しい雨」は自分のもとを去っていく女の子を引き留められない女々しい男の歌だ。
「なんで僕たちは過去なの?」
「ずるいよ置いていかないで」
こんなに女々しい歌詞もあれば
「君と僕の物語はきっとハッピーエンドだから
他に何もいらないよ 傍にいてくれないか」
なんて独りよがりな歌詞もある。普段の男らしい北山くんからは想像もつかない歌詞だなあという印象をうけた。
北山くんの過去の恋愛系のソロ曲を聴いていると、どれもひとりの女性が明確に浮かぶ。「今ナニヲ想ウノ」は大好きだった人を忘れられない男の歌だし、「Give me...」は好きだけど離れてしまった人の所にもう一度向かっていく歌、「FORM」はふたりでいてもけっして幸せだとは言えない女の子に必死で愛を訴える歌だ。北山くんは不特定多数に向けた愛の歌を歌わない。どこかにいるかもしれないし、北山くんの頭の中にしかいないのかもしれない女性が、それぞれの曲の中に存在している。
曲の元ネタが実体験だろうが他人の体験だろうが、それを自分のなかに取り込んで言葉として吐き出してしまえば、その言葉たちは北山くんの思想や癖を含むはずだと思う。だから今回の「優しい雨」も北山くんらしくない女々しい歌詞だけど、きっと北山くんの中にもそういう一面があるんだろうな、と聴いていて思った。
北山くんが曲のなかでつむぐ言葉はいつもリアルで等身大な男の言葉だ。そこにアイドル的な要素は微塵もない。情けなかったり、女々しかったり、時々強引だったりする、恋愛がけっして得意ではない男の歌ばかりだと思う。
こういう曲を聴くたびに、つくづく北山くんはアイドルという言葉が似合わないなあと思ってしまう。偶像なんかではなくて、リアルにひとりの男として存在しているんだなと思い知らされる。THEアイドルみたいなキラキラした、言ってしまえばリップサービスのような「愛してる」じゃなくて、どこかにいるだれかひとりに向けた「愛してる」を、北山くんは歌う。アイドルらしくない歌ばかりを、北山くんは歌うのだ。北山くんはアイドルという枠に収まっていていいひとなんだろうか?と思ってしまう。
それでも、北山くんがアイドルでなければ、こうして北山くんのリアルな言葉を感じることはできない。
無数に広がっていたであろう、16歳の北山くんの将来への道のなかに、アイドルという選択肢があったこと。そして、たくさん悩んでその道を選んでくれたこと。どんなことがあっても諦めずに突っ走って駆け抜けてくれたこと。アイドルで居続けてくれていること。北山くんがアイドルでいてくれたから、私は北山くんのことを見つけることができたし、好きになることができた。北山くんがアイドルの道を選んでくれなかったら、北山くんのリアルな言葉を聴くこともできなかったし、歌声を聴いて涙してしまうこともなかった。だから、アイドルになってくれてありがとう。アイドルでいてくれてありがとう、と強く思う。
アイドルらしくないくせに、だれよりもアイドルを頑張っている北山くん。入所15周年おめでとう!これからも永遠にわたしのアイドルです!